VANOSの登場
BMWのフィーリングのひとつしてあげられるものとしてエンジンがあります。
そのエンジンフィールは独特でBMWならではの走りの要素して多くのファンがいます。
今回は、そんなエンジンフィールの軌跡として可変バルブタイミングシステムにスポットをあてた内容の記事です。
BMWのエンジンのなかで最も歴史があり、有名なエンジンとしてSOHC M30があります。1968年から生産完了の92年(日本では93年)まで実に30年以上ものあいだ主力のエンジンでした。
その間のDOHCエンジンとして、E30 M3のS14、E34 M5のS38と特別なモデルに搭載されたハイパワーエンジンがありました。そしてレギュラーモデルでのDOHCエンジンは、90年(日本91年)にM50が登場します。
その後、このM50からBMWは改良版として可変バルブタイミングシステムを搭載したVANOS付きM50が92年(日本93年)ラインナップしました。
可変バルブタイミングシステムの魁で有名なのは、HondaのVTECです。カム山を3つ持ちバルブのリフト量を回転数に応じて制御します。こちらの登場の89年のインテグラで、ターボ車全盛の当時としてはとても衝撃的で斬新な技術でした。
一方、BMWのVANOSの構造は、カムプーリーを油圧制御で低回転から高回転まで適切なバルブタイミングに制御して非常に乗りやすく自然なフィーリングでNAならではの加速をします。しかしHonda VTECHのどの衝撃はなく可変バルブタイミングといえばVTECHと一般的に言われていた時代でもあります。
飛躍的に進化したバルブトロニックとは
その後のBMWのエンジンは、2001年登場のバルブトロニックへ大きな進化を遂げます。これは、もはやHondaのVTECHを凌駕するがのごとく画期的なシステムで、モーターを使って無段階にバルブリフト量を制御するし、なおかつVANOSと合わせて最適なバルブタイミングを実現するという全く新しいシステムで世界を震撼させました。
バルブトロニックの構造として無段階モーター制御がよく取り上げられますが、実はM10〜M30で培ったロッカーアームの存在も見落とせません。個人的は、このロッカーアームの技術の進化がもたらしたものといってものいいのではないかと思ってしまうほどです。
そして現行車種の一部の高回転エンジンを除いてほとんどの車種は、このバルブトロニックを搭載しています。また、ダブルバノスやツインターボをあわせて搭載することによってさらなる進化を遂げています。
しかしながら、自動車業界全体ではカーボンニュートラル、EV化の流れが欧州を中心に進んでいます。
今後、BMWがどのようなテクノロジーでユーザーに喜びを体感させてくれるのかが楽しみです!